民泊新法では年間の営業日数が180日以内と決められており、収益化のためにそれ以上営業したらどうなるか気になりますよね。
実は法令違反のため、罰則があります。この記事では、そもそもなぜ民泊には180日の規制があるのか、なぜ180日になったのかを解説します。
記事の後半では規制の中で、収益を最大化する方法も説明します。民泊で180日の規制がありながらも収益化したい方はぜひ最後までご覧ください。
民泊の180日規制とは?
民泊の宿泊日数は民泊新法で年間180日以内という規制があります。一年間とは、4月1日の正午から翌年の4月1日正午までです。このため、4月1日は午後のチェックイン、午前のチェックアウトが求められます。
この日数制限は事業者ごとではなく民泊として使用する物件ごとに制限されています。例えば2箇所所有している場合、それぞれ180日の規制が適用されます。
民泊の規制は諸外国にもあり、一年間のうち約半分を宿泊施設にできるルールを適用しているのは日本とアメリカのサンノゼです。
民泊の180日規制が定められた背景
民泊が年間180日しか営業できないのはホテルや旅館を保護するため、民泊周辺の治安維持のための2つの理由があります。
まず、ホテルや旅館の保護とは民泊が通年営業できてしまうと、宿泊料の安い民泊にホテルや旅館の宿泊客がとられてしまうことが懸念されます。これを防ぐために180日の規制があります。
続いて民泊周辺の治安維持は騒音問題、ゴミの分別ができていないことです。民泊を利用する主な利用者は訪日外国人観光客、若者層とされており、マナーの悪さが問題視されています。
また、民泊があるのは住宅街ということも珍しくなく、不特定多数の人物が住宅エリアに侵入することに不信感を持つ場合もあります。以上の理由から年間180日以内の営業となりました。
180日以上すると罰則はあるのか?
民泊新法では180日を超えて営業しても罰則はありません。旅館業の届出を出していないのに、営業を続けたことに対して罰則があります。
許可を得ていない違法民泊の取り締まりを強化する目的もあり、旅館業法に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられます。罰金は以前まで上限3万円でしたが、平成30年度(2018年)に厳罰化しました。
宿泊日数は都道府県知事に定期的に届け出る必要があるため、180日を超えていなくとも正確に記録しましょう。
180日を超えないようにする方法とは?
民泊新法、旅館業法を守りつつ、他の方法を組み合わせることで収益を最大化させる抜け道があります。代表的なマンスリーマンション、レンタルスペース、シェアハウスについて説明します。
方法1: マンスリーマンションとして運用
180日以内を民泊として利用し、その他の日はマンスリーマンションにして運用する方法があります。1ヶ月間連続で貸せれば宿泊業の契約ではなく、賃貸業の契約になるため180日を超えても違法にはなりません。
注意点は、マンスリーマンションでは1ヶ月を下回る日数だと民泊の180日規制の日数が消化される点です。借主からは必ず1ヶ月分の家賃をもらい、契約者以外の方には貸さないでください。
民泊とマンスリーマンションの併用では家具、家電、水回り、防火設備など民泊利用時のものをそのまま転用できるのでおすすめされる運用方法です。
方法2: レンタルスペースとして運用
旅館業の許可を取得して民泊を運用していればレンタルスペースとして運用も可能です。具体的にはパーティールーム、コワーキングスペースとして時間単位で貸し出す方法です。
レンタルスペースでは時間単位で貸し出しができるため、宿泊以外の集客が見込めます。一方で、目的に合わせた設備(大型のソファやテレビ、PCデスク、高速Wi-Fiなど)、貸した時間ごとにこまめに清掃が必要など、手間も増えます。
民泊からレンタルスペースへの用途変更が可能かは管理する自治体に確認することも必要なため、ハードルは高めです。
方法3: シェアハウスとして運用
民泊とシェアハウスの併用は相性が良い方法のひとつです。民泊には目安として繁忙期(4月〜10月)、閑散期(11月〜3月)があり、閑散期をシェアハウスとして運用します。
マンスリーマンション同様、1ヶ月単位の契約なら賃貸業になるので180日の規制から外れます。共同生活に抵抗がない方やワーキングホリデー、留学生の需要が見込まれるでしょう。
家具、家電、防火設備など民泊で利用していた設備を転用できるため無駄がありません。借主が限定されるところが懸念点です。
180日規制の影響なしに民泊運営する方法
旅館業の許可をとることと、特区民泊の区分で営業することで180日の規制の影響を受けなくなります。それぞれ順番に解説します。
旅館業法の区分で運営する
旅館業の簡易宿泊業の許可をとると年間180日の営業の規制がなくなるため、通年営業ができます。民泊ですがホテルや旅館と同等になることを意味します。
旅館業の許可は市役所などの行政機関に出向く必要があり、必要書類を揃えるなど手続きが面倒です。しかし、投資目的で民泊を始める場合、自分で管理しない場合がほとんどですので最初に申請し、収益を最大化させることが得策のこともあります。
特区民泊の区分で運営する
日本政府が定めた特区で民泊を行うと、旅館業の許可が必要なく日数制限のない民泊運用が可能です。特区とは具体的には以下の都道府県、市区町村です。
- 秋田県(仙北市)
- 新潟県(新潟市)
- 宮城県(仙台市)
- 東京都(大田区)
- 神奈川県
- 千葉県(成田市・千葉市)
- 愛知県
- 大阪府
- 京都府
- 兵庫県(養父市)
- 広島県
- 愛媛県(今治市)
- 福岡県(福岡市・北九州市)
- 沖縄県
上記のエリアでは各都道府県知事の許可は必要なものの、民泊を2泊3日から営業可能になります。消防設備も必要ですが、旅館業法ほど厳しくありません。また、常駐スタッフが必要ないなどのメリットもあります。
180日規制の中で収益黒字化する方法
民泊新法の180日の規制の中でも工夫次第では収益の黒字化が可能です。この章では誰でも取り組める2つをご紹介します。
コンセプトを強化して集約する
民泊のコンセプトとはどのような人が利用するかを明確にすることです。例えば家族向けの民泊にしたい、グループ利用に特化した旅行者に来てほしいなどです。
また交通の便が良いところの物件は限りがあります。このため、駅から離れていても送迎付き、部屋は畳ですが椅子やベッドがある(洋式の生活もできる)など、利用する人物やおもてなしのシーンを想像することで「体験」売ることが可能です。
送迎などのサービスをするため、多少割高でも宿泊客がついてくると黒字化も見えてきます。また、リピーターの獲得、仲介サイトなしで直接予約をとることで手数料を削減する方法もあります。
繁忙期のフル貸し出しで単価を上げる
繁忙期とは年末年始や夏休み、ゴールデンウィークなどの宿泊需要が高まる時期にフルに貸し出すことで日数に規制があっても収益化が可能です。
周辺のホテルや旅館がこの時期に値上げするように、民泊でも繁忙期と通常期で価格差をつけます。宿泊需要のある時期では、高単価でも宿泊してくれます。
フル貸し出しの中でも、需要がある時だけ(祭りや花火大会など)や週末の宿泊を常識の範囲内でさらに高単価にできます。180日の間で需要が見込める時期はいつなのかを知ることも大切です。
180日規制を理解して民泊収益を最大化 | まとめ
民泊新法では営業日数が180日以内と決められています。このため、他の方法を併用して収益性をあげるか、180日以内で利益を最大化するかの選択肢があります。
決められた日数で単価をあげるにはある程度ノウハウも必要になります。最初は併用して、徐々にコンセプトや単価上昇を目指して民泊収益を最大化しましょう!