民泊施設とは?関連法(消防法、建築基準法)も解説

民泊事業を営むうえで重要なポイントの1つになってくるのが、滞在者用の施設です。ホテルや旅館とはまた違った、民泊ならではの特徴があります。

そこで今回は、民泊施設について詳しく説明するとともに、消防法や建築基準法といった関連の法律についても解説します。理解しておくべき点をしっかりと押さえ、準備を整えてから民泊を始めるようにしましょう。

目次

民泊施設とは?

初めて民泊事業を行う方は、まずは基礎的な部分を把握しておく必要があります。

そこで、民泊施設の概要について本章では解説します。

民泊施設の特徴とは?

まず民泊とは、住宅施設の一部またはすべてを利用して、宿泊や休憩のための場所を貸し出すサービスです。

昨今増え続けている空き家の再活用法として注目を集めていることから、狭い物件や部屋だとしても民泊用に上手く使えるケースがあります。

ただし、床面積の下限が設けられているなど、さまざまな条件が民泊経営には付随してきます。他にも、換気・清掃・防湿・採光など、経営者として責任持って衛生管理も行わなければいけません。ただ、この辺りの管理業務は代行会社に委託することなども可能です。

現在の民泊施設数

観光庁によると、住宅宿泊仲介業者等取扱民泊物件の数は11万8099件でした(2020年9月30日時点)。

これは、主な民泊の種類である、新法民泊・簡宿民泊・特区民泊のほか、これらに該当しない短期賃貸借物件を含めた総数です。

この中では、簡宿民泊の施設数が最も多い結果となりました。ちょうど新型コロナウイルスの流行と重なったこともあり、例年より数は減少していますが、コロナ禍が明けつつある今、また施設数が増えていく可能性も十分にあり得るでしょう。

民泊施設を作る上で考慮すべき法律

民泊事業を始めるにあたり、いくつか頭に入れておかなければいけない法律があります。その主となるものが「消防法」と「建築基準法」です。

民泊では、これらの法律に基づいて複数のルールが定められており、満たしていないと許可や認可が下りない場合があります。

そこで本章では、それぞれの法律について詳しく解説します。

消防法

消防法とは、建築物などに対して、防火や消防のために必要な規制を定めた法律です。

民泊においては、まず家主が不在になるかどうかという部分で、消防法上のルールが課せられていきます。家主が常駐するケースの場合、基本的には新たに消防用設備等を取り付ける必要はありません(※宿泊室の床面積が50㎡以下の時)。

住宅用火災警報器などが設置されているかを確認します。一方、家主不在型の場合、自動火災報知設備や誘導灯などの消防用設備を設置しなければいけない可能性があります。

また、各種消防用設備は定期的に点検を行わなければいけません。点検結果は、消防長または消防署長に報告する必要があります。

建築基準法

建築基準法とは、人々が安心・安全に暮らせるよう、建物や土地に対して定められたルールのことです。

敷地、床面積、構造、設備など、多岐にわたって規定が細かく設けられています。民泊事業においても、この建築基準法に則ったルールが存在しています。

民泊は基本的に既存の物件を使用するケースがほとんどですが、もし建築基準法の水準を満たしていなかった場合、「既存不適格建築物」と見なされ、現行ルールに則った改修工事が必要です。

また、使用したい物件の用途が「住居」で、旅館業法に基づいた簡宿民泊を行いたい場合、用途変更の届出を行わなければいけません。

簡宿民泊の場合、用途は「旅館」になります。この用途についても、建築基準法によって定められているものです。

民泊施設を作る時のポイント

民泊施設を作る際、忘れてはいけないポイントがいくつかあります。

そのうちの主なものを、本章では3つ紹介します。それぞれを押さえたうえで、事業の運営を始めていきましょう。

民泊マーク

民泊マークとは、事業用施設として認定や許可を受けた物件に貼付するシールやロゴマークです。

このマークを物件に掲示することで、自治体から正式に認められた民泊施設であることを広く周知させられます。物件のほか、パンフレットやホームページなどに表示させることも可能です。

昨今は、規定のルールに則っていない「ヤミ民泊」と呼ばれる違法な民泊事業も多々見受けられています。民泊マークは違法経営ではないことの証明にもなり得るため、利用者の安心感をより高めることにもつながります。

パスポート呈示

日本国内に住所を持たない外国人宿泊客に対しては、パスポートの呈示を依頼する必要があります。

これは民泊に限った話ではなく、すべての宿泊サービスで共通して定められているルールです。

法令に基づき、2005年4月1日から適用されています。パスポートは呈示に加えてコピーも義務付けられており、氏名・住所・職業・国籍・旅券番号等の記載も必要です。

テロ等の不正行為の防止や感染症の拡大防止を目的としたものであり、スモールビジネスの民泊といえどもルールの徹底が求められています。

苦情・緊急時対応の整備

まず前提として、民泊事業を始める際は必ず周辺住民への周知を行いましょう。

利用客は基本的にその土地に馴染みのない人ばかりであり、そういった人々が頻繁に行き交うことになるため、あらかじめ事業内容を伝えておくことはクレームの抑制にもつながります。

また、周辺住民に悪影響を及ぼさないよう、騒音配慮やゴミ出しに関するルールを利用客にしっかり伝えておくことも大切です。また、万が一周辺住民から苦情の連絡があった場合、早朝や深夜だとしても迅速に対応する必要があります。

ルールを理解して民泊施設を立ち上げよう | まとめ

個人でも始めやすい民泊事業ですが、使用する施設については入念な準備が求められます。法律によって定められた基準をしっかり満たしているかどうか、設備は十分かどうか、周辺地域への配慮は怠っていないか、細かく確認するようにしなければいけません。ルールをしっかりと理解したうえで、民泊施設の立ち上げに向けて準備を進めていきましょう。

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