違法民泊とは?罰則や必要な対策について徹底解説

民泊を運営する前には、罰則や関連法についての理解が不可欠です。無許可での運営は違法とされ、通報される可能性があります。しかし、法律の理解がむずかしいと感じる方も多いでしょう。

そこで本記事では、無許可での民泊運営に関する罰則に焦点を当て、理解しやすい形で解説します。民泊に関する法律を理解することで、安心かつ安全な運営が可能となります。民泊事業を成功させるための手段を把握し、ぜひ実践してください。

目次

違法民泊とは?

違法民泊とは、民泊新法が施行される前の運営形態が残ったもので、民泊新法の規定に反する形で営まれる宿泊サービスのことを指します。これは、民泊運営に関する法的手続きを軽視し、旅館業法や住宅宿泊事業法の届出や認定を受けずに行われることが主な特徴です。

民泊経営は、空き家があるだけでなく、法的手続きも必要です。民泊オーナーが許可を得ずに宿泊サービスを提供し、逮捕される事例も報告されています。違法民泊は単なるマナーやルールの違反を超え、法的な犯罪行為に発展します。特に、住宅宿泊事業法に基づく規制を無視した運営には重い罰則が伴い、社会的制裁を受けることになるため、運営の継続がむずかしくなるでしょう。法令順守が不可欠なため、合法的かつ安全な民泊運営を行うことが重要です。

違法民泊の主な3つの罰則内容 

違法な民泊を営むと、どのような罰則が課されるのでしょうか。刑罰の厳しさに着目して、違法民泊の罰則内容を順に探っていきましょう。

・届出に虚偽があると6ヵ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金

民泊を無許可・無届出で運営した場合や、虚偽の届出を行った場合には、旅館業法に基づき、最大6ヶ月の懲役もしくは100万円以下の罰金が科せられます。また、届出の内容が虚偽であった場合も同様の罰則が適用されます。

・住宅宿泊管理業者へ委託しなければ50万円以下の罰金

民泊新法に基づく民泊運営では、登録を受けた「住宅宿泊管理業者」への業務委託が義務付けられています。これを怠った場合、50万円以下の罰金が科せられます。なお、自身が住宅宿泊管理業者に該当する場合や、家主が同居する場合は委託の必要がありません。

・住所変更届出を行わないと30万円以下の罰金

民泊施設の住所や事業者の名前などの変更があった場合は、30日以内に所在地の自治体に届け出が必要です。これを怠った場合、30万円以下の罰金が科せられます。また、自治体への報告や改善命令に応じなかった場合も同様の罰則が適用されることを覚えておきましょう。

これらの罰則は、違法民泊の運営者に対し、法令遵守の重要性を強調しています。合法的かつ安全な民泊運営を行うためには、これらの罰則を理解し、適切な手続きを遵守することが不可欠です。

違法民泊で逮捕される事例 

法令順守の重要性が高まる中、違法民泊運営者の逮捕事例が急増しています。合法手続きを無視した営業は社会に深刻な影響を与え、厳しい法的処置がとられている兆候です。刑事罰や企業の信用喪失といった深刻な結果が待ち受け、法を犯す行為がますます非難を受けています。これからは、具体的な事例を通じて、違法民泊が引き起こす深刻な問題とその影響を詳しく掘り下げていきましょう。

事例1: マンション36室を無許可民泊運営

2015年12月に京都市で発覚した具体的な事例の1つは、新築の賃貸マンション36室を許可なく無許可で民泊運営していたケースです。この違法営業により、関係者は書類送検され、わずか数ヶ月で約1700万円もの収入を得ていました。

新築マンションの入居者が少なく、空き部屋を有効活用するために始めた民泊も結局は法に反し、逮捕された経営者のケースは違法民泊が地域社会に及ぼす深刻な問題を浮き彫りにし、違法営業の厳罰化を促進しています。

事例2: 上場企業による違法民泊

「マンション36室を無許可民泊運営」に続き、2016年にはジャスダック上場企業「ピクセルカンパニーズ」の子会社「ハイブリッド・ファシリティーズ」も同様の不正行為が報告されました。同社は民泊仲介サイトを通じて1年で約1300人の宿泊客を集め、売り上げは計1323万円に上りました。

この法令違反により、ピクセルカンパニーズは民泊事業から完全撤退。上場企業が法規制を無視ことで企業信用が揺らぎ、社会的信頼を損なう重大な問題となりました。この事例は企業が社会的責任を厳守する必要性を強調しています。

事例3: 許可番号の偽装

2020年には、東京都内で違法な民泊を営む組織が摘発されました。この一件では、複数の一戸建て住宅を無許可で民泊として運営していたとされ、関与した複数の運営者が逮捕されました。

事業を行う際には適切な許認可が不可欠であるにもかかわらず、彼らは法を無視して違法な営業を行っていたのです。逮捕者たちは、許可の取得手続きが煩雑だとの理由から合法的な運営を選ばず、結果として法的措置を受ける結末となりました。

違法民泊はどのようにバレるのか?

ここからは、違法民泊が発覚する主な経路について、探っていきましょう。

近隣住民による通報

多くの場合、近隣住民からの通報が違法民泊を発覚させる主要な要因です。自治体が急な通報に対応する仕組みが整備され、近隣住民が騒音やごみの問題を感じるとすぐに連絡できる窓口があります。通報が入ると自治体が調査を行い、違法民泊の発覚につながるという流れです。また、競合施設からの通報もあると言われています。

保健所の検査

適切な許認可を得ていない違法民泊は、保健所の検査に引っかかる可能性があります。自治体が民泊の開始時や定期的に検査を行うため、宿泊者台帳などに不備があるとバレることがあります。合法的な運営ではない場合、検査で摘発されるリスクが高まるでしょう。

違法民泊にならないための対策 

民泊を始めるなら「旅館業法」「特区民泊」「民泊新法」の手続きを適切に行わなくてはなりません。違法民泊にならないための対策をしっかりと施しましょう。

対策1: 180日以上運営する場合は旅館業で運営する

180日以上の民泊運営には厳格な旅館業法の許可が必要です。この手続きは非常に複雑でハードルが高いため、計画段階で事前相談が欠かせません。都道府県の窓口で相談を行い、水質汚濁防止法や消防法・建築基準法に基づく基準をクリアし、確認検査にも合格する必要があります。

具体的な基準として、客室の延床面積や階層式寝台の間隔、衛生基準、入浴設備・洗面設備・トイレの数や規模などが挙げられます。

旅館業法に基づく許可取得は高いハードルがあるため、「自宅や空き家を活用したい」といった初めての参入には難しいプロセスと言えるでしょう。

対策2: 防火安全対策の徹底

違法民泊からの火災リスクを最小限に抑えるには、消防法の規定に厳密に従うことが不可欠です。住宅の形態や運営状況により異なる消防用設備の設置が求められます。

例えば、一戸建ての場合、住宅の不在時や宿泊室床面積に応じて住宅用火災警報機の設置が必要です。11階以上の建物では、スプリンクラーも必須です。自治体の条例も考慮し、適切な消防設備を整備しましょう。

対策3: 管理規約や賃貸借契約の確認

賃貸物件を使用する際は、契約で定められた規則に厳密に従いましょう。マンションの管理規約や賃貸借契約に「民泊営業が可能」と明記されているか確認が必要です。国土交通省は管理規約での禁止があれば認めないと示しています。

また、契約締結時に、運営者が個人の生活拠点として使用する場合は、他人の同居や一時的な使用は許可されません。賃借人が無断で民泊を行うと法的に「転貸」となり、無断転貸は契約解除の事由となるため、賃貸物件の運営者は注意が必要です。

違法民泊にならないよう万全の対策を | まとめ

合法的な民泊運営のため、違法行為を回避するための確固たる対策が欠かせません。法令順守、許可取得、防火安全対策、管理規約の確認などを徹底することで、信頼性と安全性を確保し、問題を未然に防ぎましょう。

行政との協力や近隣住民とのコミュニケーションも重要です。違法民泊は法に触れ、罰則があるため、合法的な運営を心がけていく必要があります。

目次