特区民泊とは?メリット・デメリットや対象地域一覧を紹介!

個人でも始められる事業として注目を集めている民泊。民泊事業にはいくつかの種類があり、特区民泊はそのなかの1つです。

しかし、他の民泊事業との違いなどを含め、特区民泊についてまだよく知らない方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、特区民泊の概要を始め、メリットとデメリット、さらには対象地域などについて詳しく解説します。

目次

特区民泊とは?

名前は聞いたことがあっても、特区民泊の具体的な内容については詳しくない方も少なくないでしょう。

まず本章では、特区民泊の概要について説明します。

他の民泊事業と何が違うのか、しっかり区別できるようにしましょう。

国家戦略特別区域によって認められた民泊

まず、特区民泊の正式名称は「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」です。

国家戦略特別区域とは、成長戦略に必要な改革を実行し、世界で最もビジネスが行いやすい環境を創出する目的で指定されたエリアを指しています。

このエリアの一部自治体が特区民泊の対象となっており、認定要件は他にもいくつかあります。また、対象の都道府県知事の認定を受けることで、旅館業法の適用外となるのも特徴の1つです。

特区民泊と民泊の違い

民泊事業は主に「特区民泊」「簡宿民泊」「新法民泊」の3つに分かれています。

特区民泊のみ、国家戦略特別区域の一部地域とエリアが限定されているのが大きな違いとしてまず挙げられます。

簡宿民泊は旅館業法の規定に基づいて簡易宿所営業として民泊許可を得る必要があり、新法民泊は住宅宿泊事業法のもと、届出のみ事業が始められるのが特徴です。

また、新法民泊の場合は他の民泊事業と異なり、営業日数180日以内という制限があります。

特区民泊の認定要件

特区民泊で民泊事業を行う場合、いくつかの要件をクリアする必要があります。

そこで本章では、特区民泊において定められている認定要件について詳しく解説します。

それぞれしっかり満たせているかどうか、特区民泊の申請前にはよく確認するようにしましょう。

国家戦略特別地域の範囲内である

まず、特区民泊=国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業であるため、国家戦略特別地域の範囲内でなければいけません。

ただ、国家戦略特別地域内であればどこでも特区民泊が行えるわけではなく、対象エリアはさらに限定されます。

特区民泊が可能な自治体については別の章で詳しく解説しているので、そちらも併せて確認しましょう。

一居室の床面積が25㎡以上である

一居室の床面積について、25㎡以上であることが求められます。戸建てで申請する場合はほぼ問題ないですが、マンションやアパートなどは注意する必要があります。

一居室=一部屋のことであり、マンション全体を民泊用で申請するのであれば、それぞれの部屋で床面積25㎡以上をクリアしていなければいけません。

宿泊者名簿が設置されている

特区民泊は基本的に、家主がいない中で運営されることがほとんどです。

そのため、宿泊者の滞在状況をチェックする宿泊者名簿を設置する必要があります。紙の名簿のほか、今はIotも加速しているため、チェックインタブレットのデジタルデバイスを活用するのもおすすめです。

宿泊者に対して、名簿への記帳を必ず促すようにしましょう。

周辺住民への周知

宿泊者の頻繁な往来などを考慮し、原則半径10m以内の周辺住民にはあらかじめ民泊を行うことを周知させておく必要があります。

運営者の氏名・住所のほか、民泊を行う施設の名前や所在地、問い合わせ先などを記載した通知書を周辺住宅のポストに投函するようにしましょう。

また、周辺にマンションなどの集合住宅がある場合、全ての居室へ周知してください。

特区民泊のメリット・デメリット

特区民泊を始めるにあたり、リスクなども含めて事前にその実態を詳しく把握しておきたい方もいるでしょう。

そこで本章では、特区民泊のメリット・デメリットについて、住宅宿泊事業法(民泊新法)及び旅館業法(簡易宿所)と比較しながら解説します。

住宅宿泊事業法(民泊新法)との比較

まず、住宅宿泊事業法(民泊新法)と比較すると、特区民泊には営業日数の縛りがありません。民泊新法の場合、営業日数は180日以内に抑える必要があります。

ただし、特区民泊は2泊3日以上の滞在が条件です。民泊新法にはこのような最低滞在日数の制限が設けられていません。

また、特区民泊で使用する施設には床面積のみ条件がありますが、民泊新法は施設が「住宅」であることが求められます。住宅とは、実際に居住している物件のほか、貸借人を募集している空き家なども該当します。

民泊新法の方が比較的制限等が多いですが、届出のみで経営を始められるのは他の民泊事業にはない特徴です。

旅館業法(簡易宿所)との比較

特区民泊は基本的に旅館業法の適用外となるため、旅館業法(簡易宿所)よりも認定手続きに要する手間などが少なくなるのがメリットです。

ただ、旅館業法(簡易宿所)は特区民泊と異なり、滞在日数のルールが設けられていません。特区民泊は2泊3日以上が条件であるため、短期間の利用を目的とした顧客のニーズには応えられない点はデメリットといえます。

ただし、旅館業法簡易宿所の許認可を取得すれば、特区民泊でも1泊2日の利用客を受け入れることができます。

また、民泊新法と比較した際にもいえることですが、まず大前提として特区民泊はエリアがかなり限定されているため、この点はある種デメリットと捉える方もいるでしょう。

特区民泊が可能な自治体一覧

特区民泊は、国家戦略特別地域内であればどこでも始められるわけではありません。営業可能エリアは、「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」として認められた一部地域のみです。対象の自治体一覧については下記の通りです。

  • 東京都大田区
  • 大阪府
  • 大阪府大阪市
  • 福岡県北九州市
  • 新潟県新潟市
  • 千葉県千葉市

初めて認定されたのが東京都大田区です。令和5年6月時点で、全国3,000施設以上が特区民泊の認定を受けています。

特区民泊の申請の流れとは?

特区民泊を行うには認定を取得する必要があります。最後となる本章では、特区民泊の申請の流れについて詳しく解説します。手順をしっかり踏んで、準備を整えてから申請を行うようにしましょう。

保健所・消防署との事前相談

まずは特区民泊を運営する予定の物件の図面を用意し、保健所や消防署へ事前相談に行きましょう。

図面を元にして、民泊を運営するにあたってどんな設備が必要なのかを提案してくれます。それらに従い、備品等の用意や購入を進めていきましょう。

特に消防設備はしっかり整えておかないと、重要書類の1つである消防法令適合通知書が発行してもらえません。

近隣住民への周知文書の作成

民泊事業を始めることは、近隣住民にもしっかり知らせる必要があります。ポスト投函用の周知文書を作成しましょう。

また、近隣にマンションやアパートといった集合住宅がある場合、各居室に知らせないといけないため、周知文書は多めに作成しておくのがおすすめです。

なお、場所によっては住民説明会を開くことが求められるケースもあるため、事前に自治体に確認するようにしましょう。

申請手数料の納付

特区民泊の申請にあたって、手数料が発生します。自治体によって金額は多少前後し、東京都大田区の場合は20,500円(新規認定申請)かかります。

さらには現金のみでの支払いとなることを念頭に置いておきましょう。

また、新規のほかに、変更認定申請の際にも申請手数料は発生します。変更の場合、立ち入り調査なしだと金額が少し安くなることもあります。

書類審査

一通りの書類を取り揃えられたら、一式まとめて提出しましょう。自治体による書類審査が行われます。

特区民泊は旅館業法の特例ともいえるため、書類の種類は非常に複雑です。事前に1つ1つよく確認し、抜け漏れがないようにしましょう。

また、書類審査と併せて、現地での立ち入り調査も行われます。

認定書の交付

書類審査や立ち入り調査をクリアすると、認定書が交付されます。認定書が交付されて初めて、特区民泊の事業をスタートさせることができます。宿泊予約サイトに認定番号を登録し、積極的な集客を始めましょう。

特区民泊のメリットを理解し開業しよう | まとめ

特区民泊が可能なエリアは国家戦略特別地域の一部に限られてはいますが、だからこそ他の民泊事業にはないメリットも大いに存在しています。

民泊を始める際、立地選びについては今一度よく考え、特区民泊の対象内である場合はぜひ上手に活用してみましょう。

また、特区民泊はエリアのほかにも複数の認定要件があるため、それぞれを満たさなければいけないことも忘れないようにしましょう。

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