民泊事業は儲かる?始め方や初期費用について徹底解説!

コロナ禍が明け始め、活気を取り戻しつつある旅行業界。日本国内の旅行客のみならず、訪日外国人も増えているなかで注目を集めているのが民泊事業です。

民泊事業とはその名の通り「民家に泊まらせる」ことであり、自宅などの所有物件を宿泊施設として貸し出します。個人でも運営可能なため、新たなビジネスとしてスタートさせる方も今増えています。

そこで今回は、民泊事業は儲かるのかどうかなど、気になる実態について徹底解説します。事業の始め方や初期費用について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

民泊事業は儲かるのか?

個人でも始められる民泊事業ですが、確実に儲けを得られるわけではありません。民泊新法が平成29年に成立し、民泊事業にはさまざまなルールが設けられました。

民泊事業の1種である新法民泊では年間180日以内の営業日数があったり、違法営業に対する厳しい罰則が設けられていたりするなど、民泊事業を行うハードルは決して低くはありません。

ただ、観光が盛んなエリアであるなど、良い立地を狙うと自ずと宿泊者数も増加します。さらに、顧客対応や清掃などをすべて自分で賄うようにすれば人件費を抑えられ、売上の確保を図ることができます。

民泊事業の始め方をステップごとに解説

いざ民泊事業を始めようと思っても、何から手をつけたらいいのかわからない方も少なくないでしょう。また、民泊事業には入念な準備も必要です。そこで本章では、民泊事業の始め方についてステップごとに解説します。

ステップ1: エリア調査

まず、民泊事業を行うのが可能なエリアかどうか調査する必要があります。

民泊事業のうち、旅館業民泊と特区民泊においては、準工業地域・商業地域・近隣商業地域・準住居地域・第二種住居地域・3,000平方メートル以下の第一種住居地域が営業可能なエリアとなります。

新法民泊の場合も上記と同じエリアで営業できますが、自治体や物件の取り決めによって民泊事業自体を禁止しているケースもあるため、事前によく確認しておきましょう。

ステップ2: 物件選定

物件を所有していない場合、民泊事業に運用可能な物件を選ばなければいけません。

物件を選定する場合は、住宅宿泊事業法(民泊新法)、旅館業法、国家戦略特別区域法(特区民泊)のいずれかに則って選ぶ必要があります。

例えば、比較的参入障壁が低いといわれている新法民泊においては、台所・浴室・便所・洗面設備が設けられていることが要件の1つとして含まれています。

また、賃貸物件はオーナーから転貸の許可を必ず得るようにしましょう。

ステップ3: 収益シミュレーション

民泊事業はあくまでビジネスであるため、事前の収益シミュレーションは欠かせません。内装リフォームやサイト制作代行などの初期投資のほか、事業運用を代行業者に依頼する場合は毎月必ず支出が発生します。

これらの支出を鑑みたうえで、何日稼働すれば収入につながるのか、何ヶ月ほどで初期投資を回収できそうなのかなど、収益のシミュレーションは細かい部分まで行うようにするのが重要です。

なるべく赤字にならないためにも、しっかり計画を立てましょう。

ステップ4: 要件適用可否の確認(消防法)

民泊事業を行ううえで、物件の種類などに応じて消防法上の要件を確認する必要があります。宿泊させる間に家主は不在になるのかどうかや宿泊室の床面積など、一定の確認項目が存在しています。

判定結果に基づき、火災報知器や消火器、誘導灯の設置、防炎物品の使用、消防用設備等の点検報告が求められます。

さまざまな要件があるため、選んだ物件がどの要件に値するのか詳しく確認したい場合は、お近くの消防署へ事前相談に行くのがおすすめです。

ステップ5: 民泊開業許可取得

一通りの準備が整ったら、民泊開業許可を取得します。基本的には各都道府県への申請が必要となります。

また、民泊事業のうち住宅宿泊事業は、消防法令適合通知書を管轄消防署から事前に受け取っておかなければいけません。ただし他の旅館業民泊と特区民泊は許可や認可が必要ですが、住宅宿泊事業(新法民泊)は行政への届出のみで事業を開始できます。

民泊事業それぞれの業態によって、必要な事前検査や届出時の添付書類も異なってくるため、よく確認しておきましょう。

民泊事業でかかる初期費用

民泊事業を始めるにあたって、一定の初期費用がかかります。

相場としては、おおよそ1,000万円かかると言われています。立地によって金額は前後しますが、賃貸物件を改装して民泊事業を始める場合、入居費・改装費・家具家電製品代・備品破棄費用・運転資金などが大体必要になります。

また、民泊事業のために物件を借りる場合、最初から経営が上手くいくとは限らないため、物件の貸主にはある程度保証金を払う必要があるでしょう。貯金が心配な場合は、融資を受けるという方法もあります。

日本政策金融公庫などの金融機関が融資を行っているので、民泊事業を上手く回していくためにも活用してみるといいでしょう。

民泊事業で必要な資格や許可

3種類ある民泊事業のうち、住宅宿泊事業法(民泊新法)で行う場合は「住宅宿泊管理業者」、特区民泊あるいは旅館業法で行う場合は「一級建築士」の資格が必要になります。

よく勘違いされやすいですが、宅建業や民泊適正管理主任者の資格は必須ではありません。また、住宅宿泊事業法(民泊新法)の場合、特別な許可は不要で事前の届出のみで事業を始められます。

特区民泊・旅館業法は許可が必要です。法律や各自治体の条例で指定された要件を満たさなければいけません。

また、要件を満たすために物件の設備をしっかりと整える必要があるので、その分費用がかかることも念頭に置いておきましょう。資格や許可に関する詳しい内容については、下記の記事も参考にしてみてください。

民泊事業で活用できる補助金

少なからずお金がかかる民泊事業を行ううえでは、国の補助金を上手く活用するのもおすすめです。

補助金の種類もいくつかあり、事業再構築補助金成長枠(※インバウンド向け限定)、物価高騰対策・回復再生応援枠、最低賃金枠、小規模事業者持続化補助金、各自治体の空き家補助金などが挙げられます。

事業再構築補助金成長枠については一度補助対象から外されましたが、2023年6月にインバウンド向け限定で再び対象となりました。

円安などの影響により、一定数の訪日外国人が見込めることが起因しています。補助金制度の種類によって金額は異なり、さらには従業員数や自治体などの要件によっても前後してきます。事業再構築補助金成長枠の場合、上限は7,000万円です。

適切な計画のうえ民泊事業を成功させよう | まとめ

話題の民泊事業について、実際儲かるのかどうかなど、気になる部分をここまで詳しく解説しました。

個人で民泊事業を行うことも十分可能ですが、始める前には入念な準備が必要です。しっかりと計画を立て、本記事で紹介したステップを踏みながら始めるようにしましょう。

民泊事業の種類によって必要な資格や許可も異なってくるため、こちらも事前の確認が欠かせません。状況によっては補助金なども上手く使うようにして、民泊事業を成功に導きましょう。

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